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★☆★━━━━━ 2005年3月のクリーミーレポート ━━━━★☆★

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パイの歴史を探る
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アップルパイ、ミルフィーユ、キッシュ…。これらに共通するのがパイ生地
です。さくさくとした食感のパイは、お菓子の世界で大きな役割を果たして
きました。
今回は、このパイにフォーカスして、歴史や酒類を紹介しましょう。

●○● 化学反応が作り出す食感 ●○●

 パイの歴史は長く、一説には、何層もの生地を使用したお菓子は古代エジ
プトの時代にもあったとされています。パイの原型と思わせる菓子が誕生し
たのは14世紀はじめ。この頃、パート・フィユテ(折り込みパイ)に関する
記述がフランスの書物に登場します。ただし、製法は現在とは異なっていた
ようで、卵を加えた小麦粉を練り、よく寝かせた後に薄く広げるというもの
でした。
 いまのような、サクサクとした幾層もの折り込みパイが生み出されたのは
17世紀。ルイ王朝のもと、パイ生地を使ったさまざまな菓子が開発されてい
ます。
 ところで、パイのあの独特の食感はどのようにして生まれるのでしょうか。
パイの材料は小麦粉とバターですが、小麦粉でバターをはさんだ生地を加熱
すると、生地から蒸発した水分が溶け出したバターによって行き場を失い、
沸騰状態となって生地を上下に膨らませ、層状を作り出すのです。
 お菓子とは化学反応の応用とよく言われますが、パイ作りとはまさにそれ
を実感できるプロセスなんですね。

●○● どれだけ知ってる? パイの種類 ●○●

 ここで、パイの種類を紹介しましょう。
 一つは、先に述べた折り込みパイ。強力粉と小麦粉をミックスし、水を加
えた生地を伸ばして中にバターを包み、延ばす、折りたたむ、延ばすを何回
も繰り返して作る製法です。
 これよりも簡単な製法なのが、パート・プリゼ(練りパイ)。アメリカン
パイでお馴染みの作り方です。強力粉と小麦粉をミックスするのは折り込み
パイと同じですが、バターの代わりにショートニングを使うことが多く、冷
水を加えてこねて、延ばす、折りたたむという工程を重ねます。ショートニ
ングを使うと、折り込みパイほど膨らみませんが、その一方で型くずれしに
くく、軽い食感が実現できます。
 このほかに、バターを切り込んで作った砂糖入りのパート・シュクレや、
クッキー生地のようなパート・サブレもパイの一員ですが、一般的にパイと
いえば、折り込みパイと練りパイが代表格です。
 ちなみに、フランス語を知ると、それぞれの特徴がよくわかります。パー
ト(pate)というのはフランス語で「生地」を意味し、お菓子の世界では小
麦粉を使った生地全般を指します。フイユ(feuilletee)は「葉」や「紙片」
を、プリゼ(brisee)は「もろい」「崩れやすい」を表し、シュクレは
「砂糖」を、サブレ(sable)は「砂」を意味します。
 パイ菓子の王様ともいえるミルフイユとは、千(mille)の葉(feuilles)
のことで、ケーキの形状をうまく表していますが、日本ではなぜか「ミル
フィーユ」と呼ばれています。しかし、フィーユではフランス語で女の子を
意味するfilleとなり、意味が違ってしまうのです。「千人の女の子」では
なくて、「千枚の葉」、それが本当のミルフイユ。フランスのケーキショップ
で注文する時は注意したいものですね。


●○● 独自の発展を遂げたパイ ●○●

 パイは古くから世界各地に伝わり、独自の発展を遂げています。
 例えばバクラヴァ(Baklava)です。バクラヴァが登場する地域は広く、
アラビア半島、北アフリカ、中央アジア、ギリシャ、インドでも愛されてい
るお菓子です。アメリカでも移民が伝えて、人気が高いお菓子になっている
とか。
 ナッツ入りのパイ生地にシロップ(あるいは蜂蜜)をひたした甘さたっぷ
りのバクラヴァの作り方は比較的簡単で、塩を入れた小麦粉の真ん中に卵を
割り入れて、オリーブオイルと水を加えた後、しっかりとこねてから寝かせ
ます。薄く延ばしたらいくつかに分けてナッツをちらし、何層にも生地を重
ねて焼き上げ、冷めたところでシロップをかけたら出来上がり。家庭では、
既成の生地を使うことも多いようです。
 びっくりするほど甘いお菓子ですが、現地の人々は平気でぺろっと平らげ
ます。これがないと生きていけない!と言う人も多いそう。パイとナッツ、
甘いシロップの組み合わせには魔力があるのかもしれません。
 もう一つ、異色のパイを紹介しましょう。それは、中国の油酥皮(ユゥス
ゥピイ)です。小麦粉と水、バター(あるいはショートニング)を使うとこ
ろまでは西洋のパイと同じですが、外皮(油皮)と、内皮(油酥)とに分け
て作るのです。
 外皮の材料は強力粉と薄力粉のミックス。そこにバターを加えて作ります。
一方、内皮の材料は薄力粉とバター。それぞれの生地を作った後に、外皮で
内皮を包んで生地を延ばしたらくるくると巻きます。それから伸ばしてまた
巻いて〜を繰り返してから焼き上げます。
 このプロセスにより、焼き上がった油酥皮はサクサクとした食感になると
いうわけです。生地にナッツを入れてもいいし、餡や練り胡麻を入れても美
味。中華菓子らしい味わいとなります。それにしても、皮自体を内皮と外皮
に分けて作って、包んで焼き上げるというお饅頭のような生地作りは中国な
らでは、ですね。
 こんな風にパイ生地が世界各地に広がっているのは、あのなんとも不思議
な食感と風味に「はまる」ファンが多いという証。海外旅行に出かけたら、
その土地ならではのパイを探してみるのも面白そうです。
文責:三田村蕗子

■□■□■□■□ クリ−ミーレポート by nakazawa □■□■□■□■

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