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cream-dreams.com_クリーミーマガジン_2003/3号

★☆★━━━━━ 今月のクリーミーレポート ━━━━★☆★
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お花見とお菓子
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 日本人であることをしみじみ実感する季節は人それぞれ。でも、お花見の
季節を挙げる人はかなり多いのではないでしょうか。桜の咲き具合、桜前線、
お花見の盛り上がりなど、この時期には桜に関するニュースはTVにも雑誌
にも満載です。日本人と桜とは切っても切れない縁がある―それを痛感せず
にはいられません。

 そこで、今月は「お花見とお菓子」をテーマに、桜の季節にふさわしい
お菓子について探ってみました。今年の春は、桜色の甘いお菓子と桜を同時
に堪能してみませんか。


●○● 関東・関西で違う桜もち ●○●

 お花見につきもののお菓子といえば、やはり桜もちを措いてはないでしょう。

 塩漬けの桜の葉を使った淡いピンク色のお菓子は、まさに「ザ・お花見」
用の和菓子といってもいいほど。
 ただし、桜もちが関東と関西とでは違った和菓子を指すことをご存じでし
ょうか。関東の桜もちは、小麦粉を使ったクレープ状の焼き皮であんを巻い
て作ります。桜もちの元祖と言われる老舗の和菓子店・長命寺の桜もちがこ
のタイプ。ちなみに長命寺が創業したのは 享保2年(1717年)。徳川八代将軍
・吉宗の時代です。暴れん坊将軍も大の好物だった、かもしれない長命寺の
桜もちは滝沢馬琴や芥川龍之介の小説にも登場しました。文豪に愛された
お菓子としても有名な一品です。

 一方、関西で桜もちといえば、道明寺粉で作った生地であんを包んだタイ
プを指します。この関西版桜もちは、関東では「道明寺」という名前で売ら
れています。つまり、関西人から見れば、関東では2つの種類の桜もちが存
在する、というわけです。

 ところで、道明寺粉とはそもそも何のことなのでしょうか。調べてみると、
これは蒸したもち米を粗く粉にしたものでした。大阪・藤井寺にある道明寺
で作られていたことから命名されたといいます。

 ちょっともったりとしたクレープ状の食感に対してもち米のつぶつぶ感と、
関東・関西で食感に違いはありますが、共通するのはほんのり淡いピンクの
色と、桜の葉っぱ。桜の時期にふさわしいこのピンク色は生地にほんの少し
加えた食紅の効果です。


●○● 味よし、見てよし、香ってよし ●○●

 では、桜の葉っぱはどこの出身なのでしょうか。

 桜もちで使用される桜の葉の大半は、伊豆半島や伊豆大島で生産されてい
ます。中でも圧倒的な生産量を誇るのが、西伊豆の松崎町。桜もちの葉っぱ
の約70%が松崎町産のオオシマザクラなのだそうです。その量は、年間
約900万束、4億5000万枚に達するというから驚きです。

 オオシマザクラとは聞き慣れない名前ですが、千葉県〜静岡県にかけて分
布している野生の桜の種で、花の色は白。ピンクの桜もちに使われる桜の葉
っぱが、ピンクの花の桜ではなく、白い花を咲かせるオオシマザクラの葉を
使用しているというのは何とも面白い取り合わせです。

 どうしてメジャーなソメイヨシノのヤマザクラではなく、オオシマザクラ
なのか。その答えは実に簡単で「香りが良いから」。桜もち特有のあの香り
は、クマリンと呼ばれる芳香物質の力によるもので、オオシマザクラに多い
成分なのです。

 もっとも、オオシマザクラの生の葉っぱを嗅いでも桜もちの香りはしません。

あれは、葉を塩漬けにする過程で発生する香り。食感、色、香りの三拍子揃
った桜もちには、日本人の美意識が集約されているといったら大げさでしょ
うか。

 ところで、桜もちの葉っぱはいっしょに食べるべきか、はがして中味とは
別々に食べるべきか。それとも葉っぱは食べない方がいいのか。長命寺に聞
いたところ、「はがして別々にお召し上がりいただくのがお薦めですが、お
好きなように食べていただいて結構ですよ」。さあ、あなたはどうしますか?

●○● ピンクの和菓子 ●○●

 桜もちの色は言わずとしれたピンク色。この色が、私たちに桜やお花見を
連想させるのですが、考えてみるとピンクの和菓子はほかにもあります。

 まず挙げられるのが練りきりでしょう。白あんに砂糖を加えて火にかけ、
よく錬ってからつなぎにみじん粉やぎゅうひなどを入れて作る練りきりには、
淡い桜色のものが少なくありません。季節を敏感に反映させるのが練りきり
の持ち味。春になると、淡い桜色をあしらった種類が多数店頭に登場します。

 すあま(すはま)やじょうゆ饅頭の桜色版も和菓子屋の常連です。柔らか
くてもちもちとしたすあまは、切り口が洲浜に似ていることから名前が付い
た和菓子で、上新粉と砂糖を混ぜて練って蒸して作ります。

 じょうよ饅頭とは、山芋をおろして上新粉、砂糖を混ぜ、 蒸し上げた和
菓子を言います。じょうよとは山芋のこと。関西では、「上用まんじゅう」
と呼ばれることが多く、おめでたい席で登場するお菓子として親しまれてい
ます。

 洋菓子の世界で、ピンク色のアイテムといえば、イチゴを使ったケーキで
しょう。イチゴの赤をほんのり効かせてピンク色にあしらったケーキの種類
はずいぶんと増えてきました。和菓子と洋菓子のピンクとでは微妙にその
ニュアンスが異なりますが、お花見の季節にピンク色のケーキを味わうのも
またおつなものかもしれません。

 蛇足ながらぜひご紹介したいのが、日本の菓子とは思えないほどインパク
トのあるピンク色のお菓子、沖縄の松風(まちかじ)です。沖縄には、ちん
すこうやさーたーあんだぎーといった、日本の菓子とは思えないユニークな
響きのお菓子がたくさんありますが、煎餅生地をクロスさせ、ゴマをまぶし
た松風の場合、名前は純和風。でも色は異国情緒豊かな強烈なピンク色です。
日本とはいえ、遠い南国の地、沖縄の独自性を感じさせてくれます。

 この松風は、NHKの朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」で登場したので
ご記憶の方も多いのでは? 結納に使われるという松風は、桜というよりも
夏を思わせる色。同じピンクでもずいぶんと幅があるものです。
文責:三田村蕗子

■□■□■□■□ クリ−ミーレポート by nakazawa □■□■□■□■

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