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クリム
ねえ、ドリム。スペインにはチュロスという
お菓子があるんだって?
ドリム
もちろん、知ってるわ。細長い形の揚げ菓子で、
スペインではホットチョコレートにつけながら、
朝に食べるのよ。
クリム
いいなあ。僕、チョコレート大好きなんだ。朝か
らそんな美味しそうなものを食べられるなんて、
スペイン人になりたい!
ドリム
相変わらずね。でも、どうしてチョコレート大国
のフランスやスイスじゃなく、スペインでそんな
にホットチョコレートが飲まれているのかな?
クリム
確かに、ちょっと不思議だね。よおし、今回は
チュロスとチョコレートの歴史を知るたびに出か
けようよ。頼んだよ、ペロン
ペロン
ワン、ワン。
●アステカ帝国の「苦い水」
甘美なる味で私たちを魅了し続けるチョコレート。原料であるカカオ豆との出会いがなければ、お菓子の世界はもっと味気ないものになったに違いありません。
カカオ豆の原産地は古代アステカ帝国です。アステカ人たちは、カカオの実をすりつぶし、トウモロコシやコショウ、バニラなどを加え煮詰めた「ショコラトル」を飲んでいたと言われています。「ショコラトル」とは、アステカの言葉で「苦い水」を表しているのだとか。
しかし、大航海時代の1519年、エルナン・コルテス率いるスペインの船隊がアステカに到着し、帝国の運命は大きく変わります。アステカの王、モンテズマ王は彼らの野心も知らずに精一杯もてなしたのですが、周知の通り、アステカ帝国は無惨にもコルテスたちに征服されてしまいました。
アステカ人に「ショコラトル」の作り方を聞き、すっかり愛飲するようになっていたコルテスは、1526年に当時のスペイン王、カルロス一世にこれを献上。こうして、世にも珍しい飲み物がスペインの地に上陸したのです。
●
ショコラトルからチョコラーテへ
スペイン人たちは「ショコラトル」に甘味を付けたり、ミルクを混ぜたりしながら、好みの味に仕立てていきました。それがチョコレートドリンクの始まり。ちなみに、スペインでは「チョコラーテ」と呼ばれています。
その後、カカオ豆はフランスに伝えられ、現在のようなチョコレートとなって一世を風靡し、やがてピレネー山脈を越えてスペインにも伝えられますが、スペインでは「チョコレートのルーツ」を感じさせる素朴な飲み方がいまも残っているというわけです。
チュロスの材料は、小麦粉と水だけ、あるいは卵やミルクを加えたりと、材料はいろいろ、形も直線的な棒状のものから、Uの字をした馬蹄型、先を交差させたものなどさまざまですが、星形の口金をつけた絞り袋に生地を詰めて、熱した油の中に絞り出していくスタイルは共通しています。
切り口が星形のチュロスと甘美なチョコラーテをいっしょに味わえば、気分はもうスペインの街角にたたずむスペイン人。カカオ豆がたどってきた長い道のり、数奇な運命を感じとってくださいね。
(吉田菊次郎先生著「西洋諸国お菓子語り」(時事通信社刊)より)
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