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お菓子をめぐる冒険コラム

アプフェル・シュツルーデル アプフェル・シュツルーデルのイラスト
クリム ねえ、ドリム。日本の国民的ケーキといったらなんだと思う?
ドリム そんなの簡単よ。ショートケーキでしょ。
クリム じゃあ、ショートケーキのショートってどういう意味だか知ってる?
ドリム うーん、クリムは知っているの?
クリム えっへん。ちょっと調べたんだ。あのね、
“さくっとした”という意味なんだよ。
それから、日本にショートケーキが誕生したのは大正時代のことなんだって。
ドリム 今回冒険に出かけるところは決まりね!
ペロン、大正時代の日本に連れてって!
ペロン ワン、ワン

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アプフェル・シュツルーデル
●さくさくとした固まりが本来の意味
 ショートケーキといっても、決して「短いケーキ」という意味ではありません。英語の「Short」には、「短い」という意味のほかに、「さくさくとした」という意味もあり、ショートケーキとは実は、「さくさくとした固まり」を意味しているのです。それが、どうして日本では、ふわふわのスポンジケーキとイチゴ、そして生クリームをたっぷりと使ったケーキを指すようになったのでしょう。
 この日本版ショートケーキを世に送り出したのは、お菓子メーカーの不二家だとされています。米国には、厚めのビスケット生地に生クリームとイチゴをはさんだ「ストロベリーショートケーキ」というものがあり、大正時代に不二家がこれを日本人が大好きなふふわのスポンジ生地に替えて使い、イチゴをちょんと乗せて、売り出したようです。
 ただし、不二家は生地は置き換えても名前は変えずにそのまま残しました。こうしてショートケーキは、米国とは別のケーキを意味するようになりました。
日本独自の文化を背負ったクリスマスケーキ
 いまではイチゴは年間を通して栽培されるようになりましたが、それでも季節によっては、イチゴの価格が高騰し、ショートケーキは時として下のスポンジ生地より上に乗っている一粒のイチゴの方が値が張ってしまうことも珍しくありません。
 そんな事情とは関係なく、日本人はとにかくショートケーキが大好き。フランスのブッシュ・ド・ノエル、英国のプラムプディング、イタリアのパネトーネ、北欧のジンジャーブレッドなど、世界各地のクリスマスケーキの背景にはキリスト教があり、その地域の文化が根付いています。一方、日本には、ヨーロッパほど洋菓子の文化はなく宗教的な背景もありません。しかし、そうした文化がないところこそ日本の文化であり、イチゴのショートケーキは、日本独自の文化を背負っているとも言えるのです。

(吉田菊次郎先生のお話より)