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クリム
ねえ、今日はバヴァロワを作ってみようよ。暑い
夏でもペロリと食べられるから、バヴァロワって
大好きなんだ。
ドリム
クリムは1年中そうじゃない。そういえば、バヴ
ァロワはフランス革命の頃に活躍したお菓子職人が進化させたお菓子なんだって。
クリム
えっ、フランス革命? よおし、じゃあお菓子を
作る前に、ペロンにその時代に連れて行ってもらおうよ。
ドリム
OK! ペロン、今日もお願いね。
ペロン
ワン、ワン。
●帽子に見立てたバヴァロワのお菓子
時はフランス革命の直前。一人のお菓子作りの天才が生まれました。マリー・アントワーヌ・カレーム、通称アントナン・カレームです。極貧の家に生まれながらも、その卓越した技術と情熱とで、「王の料理人」「料理人の王」と称される地位にのぼりつめ、たくさんの素晴らしいお菓子を後世に残した人物です。
その一つが、バヴァロワを美しくアレンジした「シャルロット・ア・ラ・パリジェンヌ」。なんとも可愛らしいネーミングのその意味は、「パリジェンヌ風のシャルロット」。シャルロットとは、「ボネット調の婦人の飾り帽」のこと。そう、「シャルロット・ア・ラ・パリジェンヌ」とは、バヴァロワの回りを軽い口当たりのビスキュイ(フランス語でスポンジの意味)で包んで、帽子に見立てたオシャレなお菓子なのです。
ビスキュイのややさくっとした食感と、とろけるようなバヴァロワの食感との絶妙のハーモニーが最大の魅力。お腹がいっぱいでもするっと入ってしまうから不思議です。
●
飽食の時代に輝きを増すカレームのお菓子
カレームは、自らの創意工夫を盛り込んだ著書を数多く残しましたが、それらには、「シャルロット・ア・ラ・パリジェンヌ」だけでなく、白い食べ物という意味の「ブラマンジェ」、各種のゼリー、クレーム・カラメル(プリンのこと)など、「ヌーヴェル・パティスリー」(新しい菓子)と呼ばれる一連の菓子がたくさん紹介されています。
これらのお菓子には共通点があると思いませんか。どれも、口当たりが良く、ご飯でお腹がいっぱいの時でも難なく食べられてしまいます。また、現代にも十分通用するお菓子ばかりです。
それは、おそらくカレームが王侯貴族や上流階級の人向けにお菓子を作っていたからでしょう。飽食を重ねていた彼ら彼女たちにも食べやすい菓子としてカレームは「するっと口の中に入ってくる」独特のお菓子を作ったと思われます。現代もまさに飽食の時代。だからこそ、カレームのお菓子はより存在感を増し、現代人にこよなく愛されているのです。
(吉田菊次郎先生著「西洋諸国お菓子語り」(時事通信社刊)より)
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