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ドリム
ねえ、クリム。クリムの大好物のムースってどう いう意味なのか、知ってる?
クリム
あのやわらかーい口当たりと何か関係ある?
ドリム
いいセン、行ってる。そう、ムースはフランス語で「泡」という意味と、「苔」という意味があるんだって。でね、ムースがこんなにも広まったのは、フランス政府の政策と関係があるらしいのよ。
クリム
お菓子と政治が関係あるの? 面白そうだね。
よおし、じゃあ今回はムースをめぐる冒険だ!
ドリム
大賛成! ペロン、今回もお願いね。
ペロン
ワン、ワン!
●苔のように軟らかく、泡のように軽いお菓子
ムース(mousse)とは、「泡」という意味と、「苔」という2つの意味を持つフランス語。もちろん、お菓子の世界では前者の「泡」という意味で使われていますが、メレンゲや泡立てたクリームをベースにした、苔のように軟らかく、気泡がたくさん含まれているふんわりと軽いーーそれがムースです。
ムースの特徴の一つとして、応用範囲が広いことも挙げられるでしょう。イチゴ、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツなど、フィリング(具)を変えれば、バリエーションはぐんと広がります。工夫次第で、素材の色を生かした、さまざまな美しい色合いのムースを作ることができるのです。
●
ミッテラン政権とムースの意外な関係
ところで、ムースにまつわるユニークなエピソードを紹介しましょう。ムースの本場、フランスではミッテラン政権下、労働時間の短縮が推進され、菓子業界にも大きな影響を与えました。お菓子屋さんは短い時間で、いままで通り多品種少量のお菓子を作っていかねばなりません。さてどうするか。難題を前にしたお菓子屋さんたちが注目したのが、急速冷凍技術、いわゆるショックフリーザーでした。
お菓子の表面にマイナス40℃ほどの冷気を吹き付けると、お菓子は微粒子のまま氷結するので、解凍した時にも味は劣化しません。長期保存も可能になります。出来たてのお菓子をそのままタイムストップさせてしまうショックフリーザーは、救世主のように菓子業界に広まりした。
そしてムースこそ、このショックフリーザーがもっとも適した生地なのです。果物を凍結すると、解凍時には組織がこわれてぐちゃぐちゃになってしまいますが、急速冷凍すればその心配はありません。かくして、出来上がりのみずみずしいムースを私たちはいつでもおいしく食べられるというわけ。私たちの知らない舞台裏ではこのように革新的な技術が生かされているんですね。
(吉田菊次郎先生著「西洋諸国お菓子語り」(時事通信社刊)より)
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