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ドリム 英国のウエディングケーキは、三段重ね になったフルーツケーキが伝統なんだって。
クリム ドライフルーツがたっぷり入ったあのどっしりと重くて、美味しいケーキ?
ドリム そうなの。でね、そもそもフルーツケーキは、
大航海時代に英国人のマドロス(船乗り)が
生み出したらしいのよ。
クリム 船乗りの知恵?
それは興味津々だな。よおし、じゃあ今回は…。
ドリム  そう! 大航海時代の英国に行きましょう。
ペロン ワン、ワン!

●マドロスの知恵が生み出したお菓子
 大航海時代の後半、スペイン・ポルトガルに代わって7つの海を制したイギリスでは、マドロス(船乗り)たちが知恵を駆使して、保存性の高い、船の生活に適したたくさんのお菓子を作り出しました。それが、世界各地から集められたフルーツやナッツを使ったお菓子です。
 プラムプディング(プラムはフルーツやナッツの総称としての呼称)、パンプディング、ライスプディング、カスタードプディングなどなどいろいろありますが、フルーツケーキもその一つ。小麦粉などの「つなぎ」をほとんど使用しない、英国自慢のお菓子は、かつての栄光の時を如実に表しています。
英国の伝統、三段重ねのウエディングケーキ
 ところで、イギリスではこのフルーツケーキを三段重ねにしてウエディングケーキによく利用されていることをご存じでしょうか。通常のスポンジケーキを三段に重ねてしまうと、その重みでケーキが傾いてしまいますが、どっしりとしたフルーツケーキならその心配は無用。でも、三段重ねにする意味はもっと別のところにあるといいます。
 一番下のケーキは、当日の列席者に切り分けて供するために、二段目は当日列席できなかった方へのプレゼントとして、そして一番上は、1年後の結婚記念日に新郎新婦が二人で切り分けて食べるためのもの。お酒に漬けたフルーツを使い、低温でじっくり焼き上げ、上にシュガーペーストをコーティングしたフルーツケーキは防腐効果が高く、冷暗所に保管しておけば日持ちがします。1年ぐらいの期間であれば、まったく問題ナシという保存性の高いケーキなのです。
 さすがマドロスの生活の知恵。英国の伝統、懐の深さを感じさせてくれるお菓子ですね。

(吉田菊次郎先生著「西洋諸国お菓子語り」(時事通信社刊)より)