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美しい山、谷、河川に抱かれ、四季折々に多彩な顔を見せるスイス最大の州・グラウビュンデン。古くからの文化と伝統を守る村々、美しい大自然に抱かれたハイジのふるさとに関するコラムです。

グラウビュンデンの様々な魅力をパノラマイラストでお楽しみいただけます。
アルプスの少女ハイジの舞台
 スイス南東部に位置するグラウビュンデン地方は、たくさんの湖、山、谷、河川を擁する大自然の魅力あふれるエリアです。
 グラウビュンデン地方を代表する都市の一つがサンモリッツ。広大なスキー場が広がる高級リゾートであり、イタリアの画家セガンティーニがこよなく愛した地として有名な場所ですが、アテネオリンピックの女子マラソンで金メダルをとった野口みずきが大会前に高地トレーニングで励んでいた場所でもあります。サンモリッツの標高は1775m。米国コロラド州・ボルダー(標高1650m)、中国・雲南地方の昆明(標高1880m)と並んで、高地トレーニングの絶好の場所なのです。
 サンモリッツからイタリアのティラノへと抜ける国際列車、ベルニナ特急も有名です。山岳地帯を走り抜けるこの路線にはトンネルが少ないため、沿線に広がる氷河や湖から織りなされるパノラマ風景を満喫できるとか。一度はこの「赤い列車」に乗ってみたいと夢見る鉄道ファンは少なくありません。
 サンモリッツ以上に日本人に親近感のある場所なのが、マイエンフェルトでしょう。アルプスの少女ハイジの舞台といった方がわかりやすいかもしれません。人口2400人という小さな町ながら、ハイジが冬の間暮らしていた家を再現した博物館、夏を過ごした山の家、ペーターの家などがあり、そこはまさにハイジワールドそのもの。ハイジが愛した干し草のベッドもあるというから、ハイジファンにはたまりません。
 今から120年以上も前に、ヨハンナ・シュピリが書き上げたこの物語は、30以上もの言語に翻訳され、「聖書に次いで世界で読まれている」との説もあるほど。人種や民族、言語を超えて世界中で愛されているこの物語の魅力を形成しているのは、ハイジやペーター、クララといったキャラクター造形に加えて、アルプスの山に包まれたグラウビュンデン地方の牧歌的な風景であることは間違いないでしょう。
ラクレットでチーズの美味しさを満喫
 「アルプスの少女ハイジ」は、日本では1974年にTVアニメとなってお茶の間に登場し、国民的な人気を呼びました。このアニメの中で、誰もが「美味しそう」と思ったのが、ハイジがチーズを棒の先に刺して暖炉の火にかざし、チーズが溶けたところで、それをパンに乗せて食べるシーンでした。
 あのチーズとされるのが、セミハードタイプのラクレットです。フランス語で「削り取る」「掻き落とす」という意味のラクレットは、溶けたチーズをそぎとってジャガイモなどに添えて食べる料理の名前でしたが、次第にチーズそのものを指すようになったとされています。
 スイスでは、ラクレット専用の卓上鉄板もあるとか。チーズフォンデュと並ぶスイスの名物料理です。
 ラクレットをハイジのように、パンに乗せて食べてもよし、本来の意味通り、ジャガイモにかけて粗挽きこしょうをふりかけて食べるもよし。どちらにしても、スイスが誇るチーズの美味しさ、ハイジが大好きだった味を堪能できるはずです。
 ところで、アニメ「アルプスの少女ハイジ」に頻繁に登場するチーズのシーンがあまりに強烈だったからでしょうか。最近、ハイジの小さなフィギュアがおまけについたお菓子「アルプスの少女ハイジ とろけるチーズのプチパン」が北陸製菓から発売されました。中身は、とろけるチーズをイメージしたチーズ風味の乾燥パンと名シーンを再現したフィギュア。グラウビュンデン地方の素朴で暖かな雰囲気を感じさせてくれます。 
地元の食材の魅力を生かした伝統菓子
 今回、吉田先生に作っていただいたお菓子、エンガディナー・ヌッストルテは、グラウビュンデン地方の東南部エンガディンの伝統的なお菓子です。
 エンガディンは、ドナウ川の源流の一つであるイン川の谷という意味で、サンモリッツを中心としたオーバーエンガディンとシュクオルを中心としたウンターエンガディンとにわかれますが、どちらも人気の高い観光コースとなっています。
 エンガディンはクルミの産地としても有名で、このクルミの魅力、持ち味を生かしたのが、エンガディナー・ヌッストルテ。バター分の多いビスケット生地の中に、くるみがたっぷり入ったヌガー(キャラメル)を詰めたケーキで、ボリュームたっぷり。一見、月餅のようでもあります。
 このエンガディナー・ヌッストルテとよく似たお菓子がフランスにもあることをご存じですか? それは、ドフィーネ地方のドフィノワ。クルミ入りのヌガーをパートシュクレ(タルト台)に詰めて焼き上げるこのお菓子は、フランス版エンガディナー・ヌッストルテと言えるほどそっくりです。
 ドフィーネ地方はエンガディン同様、良質のクルミの産地として知られています。エンガディナー・ヌッストルテも、ドフィノワも、地元の美味しい食材の魅力を最大限に引き出したローカルな伝統菓子なのです。 エンガディナー・ヌッストルテの作り方 >> 

※ 次回はポルトガル/リスボン地方です。お楽しみに!

 

 

チーズ
ハイジ物語に出てくる風景そのままのスイスのアルプ(アルプス高地の放牧場、海抜1200m〜2200m)で夏の間自然放牧される牛たちは、美しいスイスの大自然の中でのびのびとと100種類以上といわれる新鮮な若草やお花、ハーブをたっぷりと食べながら放牧場を移動し、自然の風味が美味しい栄養豊富なミルクを与えてくれる。
フォンデュ
スイスを代表する料理。フォンデュとはフランス語の『fondre = 溶かす』を語源としている。もともとは、山小屋で暮らす牧童たちが、硬くなってしまったパンを、鍋にチーズを溶かしてからめながら食べたというのが始まりという。
ワイン
スイスといえばシャスラーをまず挙げなけれならない。シャスラーはスイス全土の葡萄栽培地の45%、生産量でいえば60%を占めるスイスの葡萄品種の代表選手的な存在だ。この種のワインは、概して日本料理にぴったりと言える。土壌に敏感に反応しやすい性質があり、各地方ごと、醸造方法の違いによって微妙な変化を見せる。
ビュンドナー・フライシュ
エンガディン地方の名物で、塩や調味料をまぶした牛肉の固まりを1〜2年かけて自然乾燥させたもの。いうなれば生ハムで、脂肪分が少ない赤身を使う。薄く切ってオーブンに。ワインのつまみに最高。
 
吉田菊次郎先生が作る、香ばしいクルミの風味を生かしたエンガディナー・ヌッストルテ。
「グラウビュンデン地方」のことをもっと詳しく知りたい方のためのお役立ちリンク集。
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