| ■魅力あふれるアジア系民族の国 |
マジャール人の国ーハンガリーは、東欧の中で1、2を争う人気の観光国。ヨーロッパで唯一のアジア系民族のこの国は、リストや、コダーイ、バルトーク等々、日本人にもファンが多い音楽家のふるさととであり、華やかな絵付けとフォルムで定評のある磁器・ヘレンドでもあります。
魅力的なスポットに事欠かないハンガリーは、ドナウ川を境に東域と西域に分かれます。実は、首都ブダペストも西側のブダと、東側のベストから構成されている融合都市。今回ご紹介するのは、琥珀色の甘いトカイワインの産地が広がる東ハンガリーです。フランス国王・ルイ14世から「王のワインにして、ワインの王である」と賞されたトカイワインに魅了されたファンは少なくありません。ワインファンならぜひとも訪れたいエリアでしょう。
お酒が美味しいだけでなく、料理もまたハンガリーの魅力を形成する大きな要素。このハンガリーの料理に欠かせないのが赤いパプリカです。トウガラシの一種であるナス科の植物・パブリカから抽出した、カプサイシンとカロチノイドを主成分とする香辛料ですが、「アマトウガラシ」という別称が示すように、決して辛くはありません。コクを与え、味を調整する役割を果たす素材です。ハンガリーでは、スープにも、メインのお肉料理にもパプリカが欠かせません。牛肉と野菜をぐつぐつと煮込んだスープにパプリカを効かせたグヤーシュと呼ばれる赤いスープはハンガリー料理らしい一品です。
パプリカがオレンジやレモンの5〜6倍ものビタミンを含んでいることをご存じですか? この事実を発見して1937年にノーベル賞を受賞したのが、ほかならぬハンガリー生まれの生化学者、セント・ジェルジでした。
また、パプリカは生のピーマンの70倍ものβ−カロチンを含んでいます。国民的素材ともいえる香辛料パプリカを頻繁に使うハンガリー料理とは、美味しさだけでなく、栄養的にも申し分のないビタミンたっぷりの料理なんですね。 |
| ■異色の組み合わせが織りなす味のハーモニー |
今回は、吉田先生にドボストルテを作っていただきましたが、そのほかにも、東ハンガリーの美味しいお菓子はもりだくさん。いくつか紹介すると、まず筆頭にあげられるのが、ハンガリー版クレープともいえるパラチンタでしょう。ドイツではパラチンケン、ポーランド語ではナレシニキといった具合に、近隣の国でも幅広く愛されています。
パラチンタにはいろいろな種類がありますが、有名なのがブダペストの高級レストラン「グンデル」の創始者であるグンデル・カーロイが考案したグンデル・パラチンタ。クレープの生地の中にレーズンと胡桃をサンドし、上からチョコレートソースをかけ、テーブルに出す直前に火をつけて、ラム酒のアルコール分を飛ばすパフォーマンスでも知られる、ゴージャスなデザートです。
パラチンタは、時には中の具を変えて軽食にも早変わり。トゥーローシュ(カッテージチーズ)をはさんだパラチンタは特に人気だとか。ハンガリーにはカッテージチーズを使った料理が数多く存在し、ポガーチャと呼ばれる丸い小さなパンにもよく使われます。このポガーチャ、ハンガリーの民話に登場し、ハンガリー人のふだんの食生活には欠かせないパンなのです。
興味を引かれるのが、薄い柔らかなパスタにカッテージチーズとサワークリーム、ドライレーズン、砂糖をからませた料理。デザートパスタと呼ばれるカテゴリーです。ジャムをまぶしたり、すりおろしたリンゴを入れたり、アプリコットジャムを混ぜたりと、デザートパスタのバリエーションは実に豊富です。パスタの主な材料は小麦粉と卵なのですから、甘いお菓子にも十分通用しそう!? 異色の料理といえば、ハンガリーの人々は、夏にサワーチェリーの冷たいスープも愛好しています。上に生クリームをトッピングすることも多い料理は、スープというよりデザート感覚の一品でしょうか。意表をついた料理の多さはハンガリーの食の奥深さを物語っています。 ドボストルテの作り方 >> |
| ■ハンガリーウォーターで若返り!? |
ところで、最近、世界最古の香水であり、若返りの水とも呼ばれるハンガリーウォーターをたびたび耳にします。ローズマリーのエッセンシャルオイルをブウレンドした化粧水のことですが、アロマテラピーの普及で、日本でもよく知られるようになりました。
なぜ、この化粧水が「若返りの水」と呼ばれるのでしょう。それには、こんな伝説が背景にあります。14世紀のハンガリー王妃、エリザベートは持病のリウマチに悩んでいましたが、ある僧院で作られた水を、毎日の洗顔や入浴時に使ってみたところ、リウマチが良くなっただけでなく、顔や身体もみるみるうちに美しさを取り戻したといいます。そして、なんと隣国の王子の求婚を受けるまでに―! この時、エリザベートは齢70を超えていたといいますから、まさに奇跡の水ですね。こうして、ハンガリーウォーターは「若返りの水」という光栄な異名を獲得したわけです。
ビタミンたっぷりのパプリカを使った料理といい、ハンガリーウォーターといい、ハンガリーには女性を魅了する要素がたっぷり。ドナウの流れを堪能し、温泉に浸かって日頃の喧騒を忘れ、美味しくてヘルシーな料理に舌鼓を打った後には本場のトカイワインを楽しむ、そんな心身とともに美しくなる旅にあなたも出かけて見ませんか。 |
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※ 次回はスイス/グラウビュンデン地方です。お楽しみに! |
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