| ■美しい古城と田園風景が広がるエリア |
ロワール地方は、フランスでもっとも長い川・ロワール川の中流域の一帯を指します。ロワール地方というよりも、ジャンヌ・ダルクの出身地である古都オルレアンのあるエリアといった方がわかりやすいかもしれません。
15世紀、神の啓示を受けて故国を救うべく立ち上がり、英国包囲軍からこの地を解放しながらも、最後には火あぶりの刑に処せられてしまったジャンヌ・ダルクの生涯は、これまで何度も映画化されてきました。古いところでは、イングリッド・バーグマンが、新しいところではモデル出身のミラ・ジョヴォヴィッチがジャンヌ役を演じ、話題を集めたものです。
激しい戦いの場として、フランス歴史上で重要な役割を果たしてきたオルレアンですが、趣のある古城と豊かに広がる田園風景で「フランスの庭」と呼ばれるほどの美しい地方でもあります。貴族たちが競い合って作った城や館が出現するその光景は「ロワール古城街道」とも称されているほどです。
レオナルド・ダ・ヴィンチが設計の素案を作った城、晩年を過ごした城、ルネサンス建築の最高峰として評価の高い城など、見所はたくさん。ワインの産地としても名高く、古城巡りを目的に世界中の観光客が足を運ぶゆえんです。 |
| ■新潟とオルレアンの架け橋、ル・レクチエ |
穏和な気候のロワール地方は、四季折々の花や果物、野菜などに恵まれていることでも知られています。今回、吉田先生に作っていただいたお菓子タルト・タタンの材料、リンゴもその一つ。このほかにロワール地方産の有名どころを挙げると、アーモンド、ハチミツ、ワインビネガー、西洋梨、ブドウ、プラムなどでしょうか。
ここでちょっと注目したいのが、西洋梨。オルレアン地方を代表する西洋梨はル・レクチェと呼ばれ、数ある西洋梨の中でも最高の味と品質を誇る品種。19世紀の後半、園芸家オーギュスト・ルが作り上げ、17世紀の偉大な園芸家ル・レクチェにちなんで名付けられた西洋梨です。
このル・レクチェという名前を耳にしたこと、あるいは食べたことがあるという方も多いのではないでしょうか。実は、ル・レクチエは現在日本でも栽培されているんです。
ル・レクチェの苗木が日本にやってきたのは明治時代。新潟県白根市の農家がオルレアンから輸入された苗木を、信濃川河畔の肥沃な土地を生かして栽培を続けてきました。ロクチ、ルルクチー、ルレクチーなどの名称を経て、83年にル・レクチェに名称統一され、長年にわたる栽培努力の甲斐あって、品質も収穫量も安定し、いまでは日本産西洋梨の最高峰として君臨しています。
栽培が難しく生産量が少ないため貴重品ではありますが、そのとろけるような味と上品な芳香を一度口にすると忘れられなくなることは確実。誰をも魅了する西洋梨の原点は、オルレアンにあったのです。 |
| ■失敗から生まれたタルト・タタン |
さて、今回のお菓子、タルト・タタンは、別名タルト・デドゥモワゼル・タタン(タタン嬢のタルト)。オルレアネに住むタタン姉妹のちょっとした失敗から偶然に生み出されたお菓子です。
時は19世紀、タタン家のステファニーとキャロリーヌ姉妹は、来客のためにリンゴのタルトを作ったのですが、あわててしまい、パイ生地を乗せ忘れていました。後からそれに気づき、急いでパイ生地を乗せて上にかぶせて焼き上げ、出来上がりをひっくり返してお皿に乗せたところ、大評判。これがきっかけとなって、広がったというエピソードは有名ですね。
タルト・タタンは、いわば怪我の功名、瓢箪から駒のケーキ。キャラメル色に焼き上がったリンゴのおいしさを堪能できるケーキを生み出したタタン姉妹の「そそっかしさ」に感謝! ロワール地方の自然の恵みや古城街道に思い、オルレアネのタタン姉妹に思いをはせながら、タルト・タタンに挑戦してみてください。 タルト・タタンの作り方 >> |
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※ 次回、オーストリア/ウィーン地方です。お楽しみに! |
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